2017年6月6日火曜日

NanoBioが開発する 点鼻型HSV2ワクチン!



ちょっとオジサンっぽいアシカ?、アザラシ?ですが…、今日もちょっとワクチン・リストの解説をお休みして(ナマケモノですかねぇ… (´・ω・`))、新しいワクチン開発の動きについて解説してみたいと思います。

ちなみに、このアザラシは、あたくしの今の心境を現しているものです…。

さて、その心境とは…。本文には全く関係ありませんが、ご推察くださいませ(^^)/

では、本日のお題でございます♬


(1)新しいワクチン接種方法 「貼るワクチン」

つい最近、日本でも「北海道大学などのチームが貼るインフルエンザワクチンを開発」という新聞記事が掲載されていたと思います。(新聞記事はこちらから)

考えてみたら当然のことなんですが、私たちの皮膚はいわば「ウィルス戦線の最前線」に相当するところのようなもので、そのすぐ下(つまり、皮膚という柵のすぐ下)は、いつでも戦えるように常に臨戦態勢にいるわけです。皮膚の下には、いわゆる、最前線の最強兵士達がゾロゾロいるわけですね☆




ですが、通常のワクチン接種は、皮膚のすぐ下よりももっと深いところに薬剤を注入するので、この前線にいる屈強の兵士たちを素通りしてしまうわけですね (´・ω・`)

免疫を作るためには、この屈強な戦士たちの手助けが絶対に必要です。ただ、そのはるか後方に抗体を作るためのワクチンを投与するとなると、前線の戦士たちの反応を誘発するための余分な時間と労力が必要になるわけで、当然のことながら「免疫を作る効率が悪くなってしまう」わけすね。オマケに、前線の兵士たちは、いつ入ってくるか分からないウィルスに対しても臨戦態勢をとっておかないといけないので、結果としては、かなりの量のワクチンを投与しないと十分な免疫反応を引き起こせなくなってしまうわけですね…。

ですから、今回の新聞記事のように、直接、皮膚のすぐ下(真皮)のところに薬剤を投与した方が効率よく免疫反応を引き出せるんですね☆(^^♪

屈強な兵士たちがいる目の前に、ワクチンに含まれる「弱毒性の外敵」がドバーッと現れるわけですから、そりゃぁ、一生懸命ドンパチやることになるのは当然でしょうね!

これらの経皮ワクチンは、世界各地で研究・治験が行われているようで、先の記事では5年以内と書かれていますが、海外ではもう少し早くなるかもしれないですね。


(2)新しいHSVワクチン開発

この経皮ワクチンとは別に開発が進んでいるのが、Intranasal Vaccine(つまり、鼻から注入するワクチン)なんですね☆

つまり…、風邪の時などに「シュシュッ」とする…




こんな感じの点鼻薬と同じ方法でワクチンを体内に取り込ませようという治験が始まっているようなんです!

実施しているのは、 NanoBio Corporation(アメリカ ミシガン州)というバイオ系の会社でして、Nanoemulsion(ナノ乳剤?なのかなぁ…)活性剤を用いたワクチン開発をしているようです。今回は、ちょっと時間が無くて、NnoBio のホームページから「チラリ」と借用せてもらっておりますが…、そこでの結果を見る限り、結果としてはまあまあなのではないでしょうか…。

まず、HSV2に感染させたギニーピッグの発症率を見ると…、



ギニーピッグ発症回数の比較

となっておりまして、

  • 活性剤を投与しなかったギニーピッグ:12匹中12匹が発症
  • 活性剤を投与したギニーピッグ:12匹中2匹が発症

という結果になったようです!

そして、再発率を見ると…、



ギニーピッグ 非再発回数の比較

活性剤を投与しなかった組と比較して、活性剤を投与した方では再発の回数が 51%少なかった

という結果になったようです。

まだ、動物実験での結果なので、なんとも言えませんが、点鼻薬の感覚でワクチン接種が出来るようになれば、例えば…、

接種する方法自体が楽なので、ちょっと効果が低くても、何度も患者自身が投与することでHSVに対する高い免疫を作ることができる かもしれないし、継続的に投与することができれば一生涯その免疫を維持することができる

可能性も高くなると思うんです!

このように考えていくと、再発率を51%抑えることができるというのは、ワクチンとしては「まあまあ」なのかもしれませんが、非常に楽な方法で何回も接種することを考えれば、かえってホドホドの強さのワクチンであった方が良いのかもしれません…。


(3)で、気になる、現在の状況は…?

2017年3月6日の PR Newswire によると、

  • 約1.6億円(1.5 million USD)の研究資金を政府から補助されたらしい
    (以前の投稿では160億円としていたのですが、タイプミスでした…)
  • その補助金は、次の治験(Phase 2)を行うためのもの

ということらしく、もうすぐ治験が開始されると思われます。

国からの補助金をもらっているわけなので、やらないわけにはいかないでしょうしね!


また、進展があればこのブログで報告したいと思います♪(^^)/


次回は、「ワクチンリスト 第11弾」の報告を致します!ので、お楽しみに☆


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【おまけ…】
ちょっと Trial.org で NanoBio を調べてみると…、以前、このブログでも紹介したことのある口唇ヘルペス用クリーム NB001 がPhase 3を進めているんことが分かりました!ただ、どうやら、治験完了予定の2013年を過ぎても、まだ最終報告がされていないようで…、どうなっているのか、心配ですね… (´・ω・`)
ですが…、NB001はGlaxoSmithKlineと共同開発していたはずなので、ひょっとしたら今回も共同開発をするかもしれないですね…☆(^^♪


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