2017年4月30日日曜日

ヘリカーゼ プリマーゼ阻害薬(Helicase–Primase Inhibitor)について調べてみました

前の投稿から、大分時間があいてしまいました…。

仕事(というかやりたいこと&やらなきゃいけないこと)がてんこ盛りになっておりまして…、投稿するのに時間がかかってしまいました (´・ω・`)


さて、今日の話題ですが…。

以前、このブログでも取り上げておりました AIC316(Pritelivir)とも関連がある「ヘリカーゼ プリマーゼ阻害薬 Helicase–Primase Inhibitor」について簡単にですがまとめてみました。


(1)これまでの薬剤について

こでまでの薬剤で代表的なものとしては、皆さんもご存知の、

・薬剤名 アシクロビル(商品名 ゾビラックス)

・薬剤名 バラシクロビル(商品名 バルトレックス)

があります。

アシクロビルは1970年代にアメリカで開発された薬品で、HSV1-2の両方に処方される薬として非常に活躍してきました。それから約20年後にバラシクロビルが開発され、バルトレックスとして多くの人に使われるようになったのですが、これら2つの薬剤に共通する特徴は、HSVウィルスが自らのDNAを複製するプロセスで必修となるRNAのコピペを阻害する働きをしている点にあります。

RNAの複製を阻害する点においてはゾビラックスとバラシクロビルの違いはほとんどないようなのですが、ゾビラックスに比べてバラシクロビルの方が吸収率が良いので一回の服用でも効果が長続きするという点で違いがあるようです☆

上記二種の薬剤に加えて、バルシビルという薬がありますが、これはバルトレックスのジェネリック薬になりますので、効果はバルトレックスと同じということになります。

ここまでの説明は、色んなサイトで紹介してあるようなので、ご存知の方も多いかと思います。

(追加)
薬剤名 ファムシクロビル(商品名 ファムビル)もありますが、機能は上記のアシクロビル、バラシクロビルと同じく、RNAの複製阻害を目的としたもののようです。


(2)ヘリカーゼ プライマーゼ阻害薬 Helicase–Primase Inhibitor について

2000年に入り、ゲノム編集などの分野で技術革新が進んだことにより、「RNAの複製自体を止めてしまう薬剤」の開発が可能になってきました。これにより、ヘリカーゼ プリマーゼ阻害薬の開発が可能となったわけです。

ゾビラックスやバラシクロビルは当時としては非常に画期的な薬剤だったのですが、ウィルスの方もこれに耐性を持つものが出てきたらしく、URLの複製に必要な UL30、UL42 という酵素を持っていないウィルス(おそらくは、UL30やUL42を使わずにRNAの複製を行えるウィルス)が出てきたようなんです…。これは、つまりゾビラックスやバラシクロビルがこれまでターゲットとしていたモノを持たないウィルスが出てきたということであり、「破壊できるミサイルはあっても、ターゲットがないので効果がないという感じになってしまったわけです。(もし表現や理解に間違いがあるようでしたらご指摘お願いします☆(^^♪)

そこで、新しいターゲットとして目を付けたものが、

  「RNAを複製する大元の酵素」

であり、それが、今回紹介する阻害薬がターゲットとする、UL5、UL8、UL52の3つの蛋白質から構成されている「ヘリカーゼ プライマーゼ複合体」なのです!

ここからの説明は、石原先生のブログに詳しく記載されているので、先生のブログをかいつまみながら紹介したいと思います☆

まず、ゾビラックスやバラシクロビルがターゲットとする酵素(UL30、UL42)のある場所とヘリカーゼ プライマーゼ複合体の場所を図示すると、以下のようになるようです。




DNAが二重らせん構造をしていることは皆さんご存知のことかと思いますが、細胞分裂をする際にはこれらの二重に絡み合うDNAが一本ずつに分かれる必要があるのですが、この分岐点となるのがヘリカーゼ プライマーゼ複合体であり、「この分岐点を機能不全にすることでウィルスの増殖自体をストップしてしまおう」というのがヘリカーゼ プライマーゼ阻害薬 Helicase–Primase Inhibitor と呼ばれるもののようです。


(3)具体的な開発は?

ヘリカーゼ プライマーゼ阻害薬が具体的に治験として登場したのは、このブログでも以前よく取り上げていた AIC316(開発名 Pritelivir プリテルビル)で、2014年(多分?)の Phase 3 の段階で副作用の可能性が指摘され、治験は現在でも中止となっているようです…(非常に残念ですが…)(´・ω・`)

その他としては、日本のアステラス製薬が開発し、マルホと共同で治験を展開している ASP2151 が2015年段階でPhase 3の治験を行っています。ASP2151については「治験がSuspendされた」といった旨の記事をUPしていたかと思いますが…、どうやら治験は継続しているようですね!時間がある時に少しリサーチしてみたいと思います。


ASP2151 についての治験情報は、以下のサイトでも確認できます。
http://www.clinicaltrials.jp/user/search/directCteDetail.jsp?clinicalTrialId=14417


Pritelivirに関しても少しリサーチしてみたところ、結構面白い情報が掲載さてれていました!GW期間中に少し時間を取ってリサーチしてみたいと思います。


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個人的な感想としては、

  • 多分、ヘリカーゼ プライマーゼ阻害薬が承認されるまでには、まだかなりの時間がかかりそう…
  • ワクチンの承認はもっとかかるだろうが、TheraVax の承認が早いかもしれない…

という印象を持ちました。

いづれにしても、TheraVaxだけではなく、もう少し範囲を広げてサーチしてみたいと思います。(^_-)-☆