2017年3月17日金曜日

TheraVax 開発物語

お久しぶりでございます。

銭形でございます。

なかなか忙しく、リサーチする時間も十分にとれないので大変心苦しいのですが…、私がずっと注目している TheraVax の開発秘話(?)的なサイトが見つかりましたので、その内容をまとめてみることにしました。


The Game Changer
HERPES VACCINE SHOWS PROMISE
Written by Steve Sandstrom
http://www.siumed.edu/pubs/aspects/40-1/coverstory.html

内容は、昨年2016年の夏から始まります…。

ご存知のように、プエルトリコの南にある Federation of Saint Kitts and Nevis で TheraVax の治験 Phase 1 が行われたわけですが、その背景と治験の効果を簡潔かつ詳細に書かれております。

Dr Halford 自身は、もともと海洋生物学の研究をされていたようで、1991年にルイジアナ州立大の研究技師としてヘルペスの研究を始めた時から今日に至るまで、ヘルペスの研究をされているようです。

別の記事でも紹介したように、Dr Halford はガンの宣告をされているのですが、記事によると、宣告されたのが2011年で、余命5年と言われたようです…。今が2017年なので、

 「せめて、自分が生きているときに!」

ということもあり、 Federation of Saint Kitts and Nevis での治験に踏み切ったようです…。

記事の中で繰り返し出てくるのが、現在のFDAによる新薬の治験に対する承認体制で、

「現在のように新薬(特に生ワクチン)の治験承認までに20年もかかるような体制では、医療の発展はないし、意欲と能力のある研究者が医薬品の開発に乗り出すことは難しいだろう」

と述べています。

記事の中で「なるほど!」と思ったのが…、


  • ポリオ、水疱瘡などの生ワクチンはFDAの規制が緩かった1970年代に開発されており、その有効性と安全性は非常に高いことが確認されている
  • 現在のFDAによる非常に厳しい規制を潜り抜けた人工合成ワクチン(=ウィルスが持つタンパク質のごく一部に対応しているワクチンで危険性は少ないと考えられている)は、治験により99%効果がないことが分かっている

    のであるなら、厳しすぎる規制の意義は何なのか?


という主張でした!

これまで私の中で「Federation of Saint Kitts and Nevis で治験を行っても大丈夫なの?」、「FDAからの承認は得られないんじゃないの?」と思っていたのですが、どうやら不要な心配であったようです(^^♪

Fortunately, the FDA is no longer the only sheriff in town. For decades, all new biologics had to come through the US or Europe. However, the AIDS crisis in Africa prompted the World Health Organization (WHO) to broaden its pipeline and add new countries as gatekeepers for vaccine development. The WHO’s Initiative for Vaccine Research has been expanded to facilitate vaccine research and development against pathogens and promote early stage R&D in disease areas with no available vaccines or sub-optimal vaccines.

という部分にも書いてあるように、アフリカで大きな問題となっているAIDSに対抗するワクチンを開発するためには、FDAのように「治験の承認に20年かかる」のでは困るわけで、結果として、WHO(世界保健機構)が中心となり、未だワクチンの開発ができていない病気に対するワクチン開発を進めているようです。

この流れに沿って TheraVax の治験は進められているようですね!

この治験に日本人が参加できるかどうかは、今のところ不明です…。( ;∀;)

なお、実際に治験に参加するかどうかは、主治医の先生や専門家、家族、親類、パートナーなどと十分に相談した上で決めてください。2016年にはフランスで治験により1名が脳死、5名が重体というケースがあったり、日本でも子宮頸がんワクチンに対する訴訟が行われています。リスクがあることをお忘れなく…。