2017年2月1日水曜日

新ワクチン開発 三本の矢でHSV撃滅

この数日、ちょこちょこと新しい情報を手に入れてはいたのですが、あまり、ガツンと来るものがなかったので少し熟成をしておりました…。

そこに飛び込んできたのが…!

   「University of Pennsylvania が新ワクチンを開発中!」

というもので、読んでみるとなかなか面白そう&期待できそうなので、UPすることにしました☆


記事の原文は、以下のサイトから見ることができます。

Genital herpes vaccine shows promise in animal trials

UNITED PRESS INTERNATIONAL
By Dennis Thompson, HealthDay News
Jan. 19, 2017 at 4:03 PM

http://www.upi.com/Health_News/2017/01/19/Genital-herpes-vaccine-shows-promise-in-animal-trials/9591484859232/


【記事の概要】

今回の記事は、ペンシルバニア大学免疫学講座のHarvey Friedman教授が中心となって研究を進めてきたもののようです。

この研究の特徴的な点として

  • HSV2(性器ヘルペス)をターゲットとしていること

を挙げることができると思うのですが、それと併せて…

  • HSV2に対処するための 「三本の矢」 を隠し持っている

    (原文では "Trivalent Vaccine Targets" となっています)


点で特徴的であると考えられます。


「三本の矢」といえば、何と言っても、

毛利家 「三子教訓状」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%AD%90%E6%95%99%E8%A8%93%E7%8A%B6

が有名なわけですが、今回のワクチンもそれと似たところがあるようです☆


気になるその「三本の矢」ですが…、上記の記事では、次のように解説をしています。

Potential vaccines developed in recent years have largely targeted the aspect of the virus that helps it break into host cells. But these vaccines have not shown very robust protection in animal and human trials.
Friedman and his colleagues decided that an effective vaccine must not only prevent the virus from infecting cells, but also must remove the virus' ability to evade detection by the immune system.
The new vaccine induces an immune response that produces three antibodies targeting different aspects of the genital herpes virus. Two of the antibodies prevent the virus from blocking the immune system, while the third prevents the virus from entering cells, the researchers said.
"In essence, we're stimulating the immune system to attack the virus and at the same time preventing the virus from using some of the tools it has to thwart that immune attack," Friedman said.
最近のワクチン研究は、HSVウィルスを宿主細胞に侵入させないようにすることをメインに」考えていたようだが、Friedman教授らの研究は、宿主細胞への感染だけでなく、ウィルスが免疫機構をすり抜けてしまう能力に対しても対応している。
研究者によると、同研究ではHSVウィルスの特性に対応した3つの抗体を誘発するようにしており、2つの抗体はウィルスが免疫機構の働きをすり抜けるのを阻止し、そしてもう一つの抗体はウィルスが宿主細胞内に侵入するのを防ぐ働きをする、ということである。
Friedman教授によると、「つまりは、 HSVウィルスを攻撃するために免疫機構を刺激し、同時に免疫機構の攻撃を妨害している手段を使えなくするようにしている」ということのようだ。

もうちょっと調べてみないとわからないことも多いのですが…、まぁ、このワクチンにより、

  • 免疫機構からのすり抜けに対応する抗体
  • 免疫機構を活性化する抗体?
  • 宿主細胞への侵入を防ぐ抗体

の3つを同時に作るようにしているのではないか、と考えられます。


つまりは、毛利家の「三本の矢」のように


「1つの抗体では対応できない可能性が高いので、2つ、3つの抗体で対抗する」


ということのようですね☆(^^♪


【その他】

現段階では、いまだ動物実験の段階のようで、実際の治験を支援してくれる企業を探している段階のようです。

それでも、動物実験での結果は出してきているわけで…、

それによると、

  • サルを使った実験(計6匹)では、
    • ワクチンを投与された4匹が強い免疫反応を示した
    • 3匹がウィルス感染に対する強い抗体反応を示した
  • ギニーピッグを使った実験では、
    • 98%の個体がウィルスに感染しなかった
    • 95%の個体で生殖器にウィルスを確認できなかった

という効果を確認できているようです!


「ウィルスのすり抜け」だけでなく、「宿主細胞への侵入」を防ぐことができるという点、それに動物実験で強い抗体反応や生殖器からのウィルス排出をかなり抑えることが出来たという点を考えてみれば、

   ウィルスの感染だけでなく、ウィルスの排除にも効果がある

と期待できるかもしれません!


まだ実験数も少ないようなので、これからなのかもしれませんが、少し注目していきたいと思うワクチン開発研究でした☆(^^♪


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