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2014年1月14日火曜日

主なHSV2ワクチン研究18件と今後の方向性

皆さん、お元気にお過ごしでしょうか?

松の内も過ぎ、本格的に仕事も始まった方も多いと思いますが、寒さにはご注意ください。

さて、今日は、前回のHSV529に関する記事の第二弾!という感じで書きたかったのですが…、実は、探し当てた論文が結構大変でして(汗)…。

まだ、完全に読めているわけではないですが…、現状における主なワクチン研究・治験に関する情報が載っていたので、その部分だけ切り取ってご紹介したいと思います…。

今回、見つけた論文は…、
Current status and prospects for development of an HSV vaccine
「HSVワクチン開発の近況 と展望」

という ものでして、どうやら、


  最新のワクチン開発研究・治験18件についての情報を基に近況と展望


をまとめているもののようです…。

(スミマセン、十分に読み込んでいるわけではないので…)<m(__)m>


その論文の中に、ちょっとオモシロイ表が掲載されておりまして…、それが、下のようなものなんです。


最近、開発されている主要ワクチン研究18件


上の表をよ~く見てみると…、

  1. 前半に記載されている9件の研究(0△NLS~ImmunoVEX)までは、HSV2ウィルスの全タンパク質情報を使ったもので、ウイルスの複製をつかさどるタンパク質のみを不活性化(ノックアウト)しているもの(Replication-incompetent whole virus:別の意味では Knockout Virus)で、
  2. 後半の9件は、所謂「HSV2ウイルスのコピー」を使ったもので、体内でHSV2ウイルスに対する抗体を作るのに必要と思われるタンパク質のみを用いた研究


となっているのに気づくと思うのですが、更に、表の右側に目を移していくと…

「コピー」を使った研究の4件が Phase 1~2 となっている一方、所謂「Knock-out Virus」を使った研究のわずか2件がPhase 1となっており、研究の進度にかなりの違いがある

ことが分かると思います。

おそらく、その背景には、「生ワクチンを使うことへの警戒心」、つまり「生ワクチンを使うことで、水疱瘡が蔓延してしまうかもしれない…」という懸念があるのでしょう…。

ただ、これだけ多くのノックアウトウイルスを使った研究が進められているこということは、将来的には、今後、HSV2の全タンパク質を使った研究が主流になるのかもしれません!


いずれにしても、今回行われる HSV-529 の治験結果次第というところでしょうか… (^_^;)

2014年1月6日月曜日

HSV529 (ACAM-529を改名したもの) が新しいHSVワクチンへの道となる!

明けまして、おめでとうございます。

皆様、どのようなお正月をお過ごしになったでしょうか?

今年も、ボチボチ(ホント、ボチボチですが…)、情報を投稿していきたいと思います (*^^)v


さて、2014年、最初の投稿は…、2011年にこのブログでも紹介した、ハーバード大学が Sanofi Pasteur との共同研究で開発を進めている HSV529(旧、ACAM-529)についてです♪

- ACAM529に関する以前の記事
 http://houseofherpesians.blogspot.jp/2011/09/acam529.html

これまで、記事を投稿する時には、HCSUPPORTNETWORK内のHerpes Cure Forumが提供する情報をよく参照していたのですが、今回は新たに探し当てた、

Herpes Vaccine
http://herpesvaccine.scienceblog.com/

というサイトに記載してある記事を読んだとき…、

  「これだ!」\(◎o◎)/!

と思ってしまったんです☆

というのもですね…、

これまで、そして現在開発中のHSVワクチン(HerpVを含む)は、HSV2ウイルスが有するタンパク質の一部(Subunits)を使って人体の免疫機能を活性化し、HSVウイルスの撃退&不活性化を実現しようとするもののようで、いわゆる、

  「ウイルスの一部をコピーしたものを使って、HSVへの対応を実現しようとしている」

ようなんです…。

HSV2ウイルスは、例えば、

HSV-2's ICP8
HSV-2's ICP10
HSV-2's VP5
HSV-2's VP1-2
HSV-2's glycoprotein B,
HSV-2's glycoprotein H,
HSV-2's UL40
HSV-2's UL48
HSV-2's UL21
HSV-2's UL47
HSV-2's DNA
HSV-2's UL42
HSV-2's glycoprotein E,
HSV-2's glycoprotein C,
HSV-2's UL49
HSV-2's UL38
HSV-2's glycoprotein D

といったタンパク質が含まれているようなんですが、HerpVをはじめとするHSV2ワクチンのほとんどは、HSV-2's glycoprotein D&その他のタンパク質をいくつか合わせて抗原を作り、その抗原を基に抗体をつくるようにしているようなんです!

ただ、このglycoprotein Dを基にした研究・治験は、ことごとく、失敗しているんですね…。

これまに開発されたウイルスワクチンの中で、最も広く使われていて&最も有名なのは、大阪大学が開発した「水疱瘡ワクチン」なのですが、このワクチンは、VZVウイルスのタンパク質をすべて用いて開発されたものなので…、

  非常に効き目がある!

わけです☆

今回、この記事で取り上げている HSV529 は、まさしく、この「水疱瘡ワクチン」と同じ、HSVウイルスのタンパク質すべてを使用しているものなので、Herpes Vaccine曰く…、

  「これまでに開発・失敗したワクチンよりも、100倍効果があることは確実!」

のようです (*^^)v

また、別の記事でも書きたいと思っていますが、HSV529の治験(Phase 1)が、NIH(National Institute of Health:日本の旧厚生省に相当)主導ですでにアメリカで始まっていることから、今後注目していきたいと思います☆


2011年9月13日火曜日

HSV 研究・治験21! (4 & 5)

4. CAPRISA 004, FACTS 001 & FACTS 002

いずれも、Gilead Sciencesが進めているHIV、HSV2感染予防を目的とした治験(Phase III)の名称です。治験自体はアフリカで行われているのですが、2011年9月に治験が開始される予定(9月1日現在で被験者を募集中…)のようです。

FACTS001は2,200名の女性(18-30歳)を対象とした大規模な治験となるようですが、FACTS002は対象者を「16-17歳の女性」(合計2,200名)としていることから、FACTS001よりも対象を絞ったものになっているようです。いずれの治験も、約2年間行われる予定のようです。

FACTSに関してはこのブログでも以前取り扱ったことがあると思いますが、女性の膣内に塗って使用する「Vaginal Gel(膣内に塗るジェル、テノフォビル1%を含む)」を使った治験で、もともとは「女性のHIV感染を防ぐ」ために計画されたのですが、HSVにも効果があることが判明し、「HSV感染防止」も治験の対象となったようです。治験Phase IIbでは、HIVに関しては39%、HSVに関しては51%、感染を低減させることに成功したようで、コンドームに塗って使うHSV感染防止薬「Vivagel」よりも早く市場に出るのではと期待されています。

【最新記事】


2011年9月8日木曜日

ACAM529

誰もが知るところのHarvard大学がだいぶ前に始めたHSV研究に関する動向です!

以前、そこのMedical Schoolが、「DL5-29」という遺伝子操作により増殖できなくされたHSVウイルスを使った研究を行っていたのですが、Accambisという会社に研究が引き継がれ、その会社がSanofi Pasteurという別の会社に吸収された後は、なかなか情報が表に出てこなかったようです…。

DL5-29というコードネームは、今現在、ACAM529とその名称を変更されているのですが、体内でのHSVウイルス増殖を抑えるための鍵となる抗体(Antibody)と免疫細胞(T Cell)の両方を非常に活性化させることから、頻発するHSV-2の発症を抑えるだけでなく、ウイルスが神経節内で活動を休止することも阻止できるようです!(←これは凄い!)

さらに、さらに!

このACAM529は、HSV-2だけでなく、HSV-1に対しても有効のようで、「2012年には治験(Phase I)が開始されるだろう」と言われてきました。(… まだまだこれから続きますよ…)