2017年6月19日月曜日

ヘルペスワクチン最前線 13: GeneVax Prime



皆さん、お待たせしました!

ちょっと前の投稿でも説明させてもらいましたが、今回の GeneVax に関してはまだ基礎実験段階(ワクチン開発の核となる対象物質の特定ができたところ…)のようで、ホームページやPubMed、その他の専門誌を見ても有効な情報を見つけることが難しく、最終的には今まで時間がかかってしまいました…。

お待ちいただいていた方もいらっしゃったかと思いますが、大変申し訳ありません… (;・∀・)

この数日間、時間を見つけては探していたんですが、昨晩、やっと関係のある論文を一つ見つけることができました!まだ十分に読み込めているわけではないんですが、そこから分かったことを基に、今回の「ヘルペスワクチンリスト 第13弾!」としてご紹介したいと思います。

では、お楽しみ頂ければ幸いです☆(^^♪


(1)Profectus Biosciencesについて

今回取り上げる GeneVax を開発している Profectus Biosciences は、アメリカ 東海岸のボルチモアにある会社で、ニューヨークにも販売店(というか出張所ですかね…)があるようです。



Profectus Biosciences という会社名をググってみると、こんな感じのホームページにアクセスすることができます。




「ちょっと、ポチポチを見ると、ゾワゾワ来る…」 (´・ω・`)
という方にはあまりおススメできない感じのデザインですね…(私自身は大丈夫なんですが…)。

この会社が現在開発を進めているワクチンは、結構種類が多くてですね…、今のところの開発中のものは、以下のようになっているようです。


クリックして拡大

ちょっと見づらいかもしれませんが…、上の方から、

  • 慢性的感染症に対する治療用ワクチン(HSV2を含む!)
  • 公共の健康を守るための予防用ワクチン
  • その他の予防用ワクチン

となっています。この中でも一番開発が進んでいるのが、「HIVに対する治療用・予防用ワクチン」、それに「エボラ出血熱に対する予防用ワクチン」の2種類となっており、HSV2のワクチン開発は「Immuno-genecity in Small Animals(小動物を使った免疫実験の段階)」であるようです。


(2)それで、今の段階はどんな感じなの?

Profectus のホームページを見ても…、「Prime/Boost System of Vaccines (PBS Vax™) 技術を応用したワクチン」というごく簡単な記述しかなかったものですから、最初の手がかりとして、この PBSVax について色々と調査を始めてみました…。ところが…、

  なかなかイイ情報が見つからなかった…

んです… (;・∀・)

GeneVax に関しては、まだ研究の初期段階にあるようで、それも原因の一つだったのかもしれません。

リサーチしていくうちに、いくつか良さそうな情報は見つかったのですが、その一つが以下のようなものでして…、

HVTN Trial 080 (GeneVax® IL-12 molecular adjuvant)
Conducted by the HIV Vaccine Trials Network (HVTN), trial 080 (ClinicalTrials.gov identifier NCT00991354; N=48) examined the safety and immunogenicity of three doses of an NIH manufactured multi-antigen HIV pDNA vaccine (gag, pol, env) delivered on days 0, 28, and 84 via electroporation (EP) with and without 1 mg GeneVax IL-12® in HIV-uninfected healthy adults. The primary endpoints included safety and immunogenicity measured by intra-cellular cytokine staining (ICS) of vaccine responsive CD4 and CD8 T cells in cryopreserved peripheral blood mononuclear cells (PBMC). Secondary endpoints included measuring immunogenicity in the interferon-gamma (IFN-γ) enzyme-linked immuno-spot (ELISpot) assay of vaccine responsive total T cells in cryopreserved PBMC.

Status: Completed
Clinical Results:
GeneVax IL-12® delivered via EP:
Safe and well tolerated
Increased vaccine-specific CD4 ICS response rate from 44% to 81%
Increased gag-specific CD4 ICS response rate from 33% to 65%
Increased vaccine-specific CD8 ICS response rate from 33% to 52%Increased gag-specific CD8 ICS response rate from 0% to 7%
http://www.profectusbiosciences.com/pipeline/clinicaltrials.html

というものなんです…。

私も専門家ではないので、イマイチ確証は持てませんが…、GeneVax はどうやら、IL-12 という物質と何か関係がありそうなんです…。最初見た時はあまり分からなかったのですが、この名前…、どこかで以前見た記憶がある気がしたんです… ( ゚Д゚)

まず、この IL についてWiki様で調べてみると、どうやら「インターロイキン」(Interleukin)というタンパク質のことで…、

白血球(leukocyte から-leukin)によって分泌され、細胞間(inter-)コミュニケーションの機能を果たすものをいう

ようなんです!

ウィルスが侵入すると、「ウィルスの表面にあるタンパク質を基に抗体を作成 → ウィルスを攻撃」するわけですが、ILは、「その攻撃をより効果的に行えるように、免疫反応に関連する細胞間相互作用を媒介する」働きを持つんですね!

つまり、IL自体は、ワクチンに使う アジュバントのようなものだとしたら、この PBS VAX というものは、ひょっとしたら、何かしらアジュバントに関係するものなのかもしれません…。


(3)そこでもう少し調べてみると…

それで、まさしく「野生のカン!」というものなのかもしれませんが…、よくよくこれまでのリサーチを思い返してみると、5‐6年前に四苦八苦して読んだ、Haford先生の論文(今現在のTheraVaxの基になっている論文です)に IL-12 が取り上げてあったような気がしたんです…。

それで、キーワードを工夫して検索してみると…、以下の論文が見つかったんです!


クリックするとPubMedの概要を見ることができます。


よくよく見ると、Profectusの研究者に加えて、「William P. Halford」先生の名前も入っているんですね!ちょっとびっくりしながら、読み始めたんですが…、やっぱり専門書は難しいですねぇ…。Abstractを基に概要を見てみると、


  • HSV2ウィルスを電気処理し形質転換した(=無毒化した)ワクチンをインターロキシン12(IL12)を基にしたアジュバント(活性剤)と一緒に投与すると、グリコプロテインDを基に作成したDNAワクチンを従来のアジュバントと一緒に投与した場合よりもはるかに強力にウィルスを撃退することができた
  • ウィルス表面のタンパク質をターゲットにする場合、グリコプロテインD1つよりも、いくつかの適切なタンパク質を組み合わせてターゲットとした方が抑制効果は高く、開発中のHSV生ワクチンとほぼ同じ効果があるかもしれない
  • ただ、マウスでの結果を見るか技師、ウィルスの除去に関しては、開発中の生ワクチンの方がはるかに効率が良い

というような結果が得られたようです!(^^)/

最初の「HSV2ウィルスを電気処理により無毒化したもの&IL12を基にしたアジュバント」は、Halford先生が開発している TheraVax の基になっているものでありまして、まぁ、グリコプロテインDのみをターゲットとしたワクチンよりも効果があることは当然のことだろうと思います。

ちょっと背景知識が無さ過ぎて…(涙)分からない部分もかなりあったのですが…、1つだけ、HSVウィルスの排出に関する結果を見てみると、以下のような結果となったようです…。




上の表(B)を見てみると、「gD DNA to Mock」と書いてある部分が、「ワクチン投与をしていないマウスと、IL12アジュバント&グリコプロテインDを投与したマウスを比較してみた結果」で、わずかではありますが、効果があったことが分かります!( p は統計用語で「危険率」という意味で、p<0.05 以下であれば、その差に何かしらの意味がある、ということになります)

グラフAの水色の丸印が gD DNA(IL12アジュバント&グリコプロテインDを投与したマウス)になるんですが、少しだけ、違いがあるんでしょうね…。

それよりも、ちょっとびっくりしたのが、△NLS(グラフAの赤いダイヤモンド)ですよね!これは、比較群として設定された、

  Halford博士の TheraVax

のことなんです!

実験では、ワクチンを投与した20日後にHSV2ウィルスを与えているようなんですが、DAY1でもかなりの効果があり、3日後に至ってはほぼ完全に抑えることができているようですね!スゴイ効果だと思います…。


(4)で、最終的には…?

おそらく…、今回の論文は、

グリコプロテインDといったウィルスの表面にあるタンパク質をターゲットにするだけでなく、それにIL12を基にしたアジュバントを加えて投与したら、どんな効果になるだろう?

というものになるかと思います(あまり自身はありませんが…)。


PBS VAXが何なのか、今だ十分に分かっているわけではありませんが…、今回の研究から見る結果(推測?)としては、

PBS VAXは ILを基にしたアジュバントを使ったDNAワクチンで、TheraVaxと同じく高い効果が期待できるけど、まだまだ、これからの研究次第ですね…

という感じではないでしょう (^^)/

読んだ後の正直な感想としては…、


TheraVaxの効果、ムチャクチャスゴイんちゃうん!ということが際立った研究だった☆(^^)/

ということですね…。「ひょっとして、Profectusさんたち、当て馬に使われたんじゃないの…?」とさえ思ってしまいました… (;・∀・)


今回のレポートは、ちょっと情報収集に時間がかかってしまい、UPするのが遅れてしまいました…。その上、十分読み込めたわけではないので、内容的には不確実なところが多く、大変申し訳ありません…(涙)。

これから、さらに修行させて頂きます…。






また、次回のレポートで頑張ります!

今後とも、よろしくお願いいたします☆(^^)/


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