ワクチンリストのリサーチをしていたんですが、なかなか良い記事が見つからなかったので、今回は少しグレテしまいました… ( ゚Д゚)
というわけで、次のワクチン(GeneVax prim)に関する情報があまりに少なかったので、ちょっと前に見つけていた TheraVax についての記事を報告したいと思います。さほど HOT というわけではございませんが…、お楽しみ頂ければ幸いです (;・∀・)
GeneVax Prime についてはもう少し時間がかかると思いますが、また次回に報告するようにしたいと思います…。
【言い訳その②】
本来ならもう少し早く記事をUPしようと思ったんですが、 片頭痛がひどくて…、なかなか記事の作成ができませんでした…。遅れてしまい、もうしわけないです… (;・∀・)
では、本日の記事をお楽しみくださいませ!
上にも書いたように、今回は今年(2017年)の4月にUPされていた TheraVax に関するインタビュー記事をご紹介したいと思います。
TheraVax については、このブログで何度もご紹介しているので、前知識が必要な方は検索してみてください☆
ちょっとだけ TheraVax について簡単に説明しておくと…、アメリカ イリノイ州スプリングフィールドにある Rational Vaccine というバイオ系の会社が開発している、HSV1‐2に対応した治療用ワクチン(=感染者を対象としたワクチン)であります。Rational Vaccine は他の会社とちょっと違ったところがありまして、イリノイ州にある南イリノイ大学医学部がかなりバックアップしているようなんです。まぁ、Rational Vaccine を立ち上げた研究者(Dr.Halford)が同大学の研究者なので、それも当然のことかとは思いますが…、なかなか面白い会社だと思います☆(^^♪
今回の記事は、2017年4月10日に「PM360」というネット上の医療関係情報誌に掲載されていたものです。「PM360」のホームページ自体はとてもいい感じに仕上がっていて、なかなかナイスな感じです!
さて、今回取り上げるインタビュー記事ですが、Rational Vaccineの経営担当CEOをされているフェルナンドさんに対して行われたもののようで、これまで私も知らなかった裏話的なものが語られています。
今回は、完全ではありませんが…(;・∀・)、インタビュー全文を日本語訳してみました!
いつもは「ザぁッとした」感じの訳ばっかりなので、今回は少しだけ丁寧にやってみました…。ちなみに、銭形が「オッ!」と思ったところには、アンダーラインを引いております(参考までに…)。
記事の原文は、こちらからアクセスできます☆
フェルナンデスさんのにこやかなご尊顔を見ることができますよ☆(^^♪
Why make the switch from Oscar-winning producer to pharma CEO?
I really have a passion for eradicating this disease as friends and loved ones have suffered from it. Though it's funny that everybody sees it as a big switch, running a film is a lot like running a small startup. You take an IP that you like, then you develop it, raise money around it, hire an extensive team, execute on that IP, market it, and sell it.
So they're very similar, and I don't feel like I've abandoned movies forever. This is just a bigger project. I haven't written my great script yet, or directed my great movie. But this is my opus. I'm getting to work with Dr. William Halford, a really brilliant scientist who devoted his life to helping people.
オスカー賞を受賞したプロデューサーから製薬CEOに転身したのはなぜですか?
友人や愛する人たちがずっと苦しんでいるので、私は本当にこの病気を根絶するための情熱を持っているんです。誰もがそれを大きな転身と見なすことは面白いですが、映画を運営することは小さなスタートアップを走らせるようなものです。好きなIP(すみません、このIPが分からなかったんです…)を取って、それを開発して、お金を集め、大規模なチームを雇い、そのIPを実行し、市場に出し、それを売る。
そのプロセスは(製薬と)とても似ているので、私は映画を永遠に手放してしまったような気がしないんです。これはそれが少し大きくなったプロジェクトなんです。私はまだ偉大な脚本を書いていないし、偉大な映画も監督していない。しかし、これは私の作品です。私は、人を助けるために彼の人生を捧げた本当に素晴らしい科学者、ウィリアムハルフォード博士と、(その作品を作るために)働いているのです。
How did the two of you come together?
I did a lot of research on the herpes virus and I realized that his approach is the only one that made sense to me, and it seemed to make sense to the scientific community. Of all alphaherpesviruses, three are most well-known: herpes simplex virus types 1 and 2—otherwise known as “herpes”—and what we call the chickenpox, varicella zoster virus. And an attenuated live viral vaccine known as the VZV Oka vaccine has been used successfully for decades against the chickenpox.
The scientist who developed that vaccine was Japanese and his son was really suffering from chickenpox. At the time, he was based in the U.S., but when he saw the regulatory landscape in the U.S. was too difficult to navigate, he went to Japan. Many years later, Merck quietly bought it and brought it back to the States.
That vaccine is based on the same principle as Dr. Halford's ICP0–mutant vaccines, which is, you take a live virus and you attenuate it. There's never been a properly attenuated live vaccine that hasn't worked to eradicate its corresponding virus.
So when I heard that Dr. Halford had the same approach, and he has 20 years of research involving lots of animal trials with guinea pigs that correlate well with humans, I just started trying to convince him to form a company with me, and luckily, he agreed.
お二人はどうして出会ったのですか?
私はヘルペスウイルスに関する多くの研究を行い、彼のアプローチが私にとって唯一納得のいくのものであることに気付きました。そして、それは科学界にも納得のいくものであると思います。アルファヘルペスウイルスのうち3つが最もよく知られていますが、それらは、単純ヘルペスウイルス1型と2型(単に「ヘルペス」とも呼ばれることもあります)、それにいわゆる水疱瘡、帯状疱疹ウイルスと呼ばれるものです。また、VZV Okaワクチンとして知られている弱毒化生ウイルスワクチンは、水疱瘡に対して何十年も使用されており、大きな成功を収めています。
そのワクチンを開発した科学者は日本人であり、彼の息子は水疱瘡にとても苦しんでいました。当時、彼は米国に拠点を置いていましたが、米国の規制環境はなんとか開発を上手くやっていくには難しかったので、日本に行ったのです。それから何年も経ってから、Merckはそれをこっそり買い付け、米国に持ってきたのです。
そのワクチンは、Halford博士のICP0ミュータント ワクチンと同じ原理に基づいています。つまり、生きたウイルスを体内に取り込み、弱毒化し、適切に弱毒化された生ワクチンは、対応するウイルスを根絶するのです。
ですから、ハルフォード博士が同じアプローチをしていて、人間とよく似たモルモットを使った動物実験を20年間行ってきたと聞いて、私と一緒に会社を設立しよう持ちかけたんです。そして、ラッキーなことに、博士はこの考えに同意してくれたんです。
One of the big hurdles with starting a pharma company is the regulations. How have you adjusted to overcome these hurdles?
For me, eradicating this virus is a passion and mission—I don't care how long it takes. I don't care how much money it costs. Dr. Halford is the same way. So I think it just comes down to stamina. Whereas a film may only take one or two years of your life, this is something you have to commit to long term. A lot of pharma companies don't commit—an average CEO's life in a company is only four years.
So you've got to hunker down and really keep pushing. To start, we've developed a creative strategy that may not be super novel, but we recognized that there are more progressive regulatory environments in the world that are more willing to give us a chance. That is why we are aggressively moving forward with trying to get approval in countries outside the U.S. (see sidebar).
製薬会社の設立に伴う大きなハードルの1つが規制です。これらのハードルを克服するためにどのような調整をしましたか?
私にとっては、このウイルスを根絶することこそが、情熱と使命ですので、どれくらい時間がかかっても気にしませんし、どれくらいのお金がかかっても気にしません。ハルフォード博士も同じです。最終的にはスタミナの問題ですね。映画は1〜2年しかかかりませんが、これは長期的にコミットしなければならないことです。多くの製薬会社はあまり(長期間)コミットしません。会社の平均的なCEOの在任期間はわずか4年なのですから…。
だから、腰を下ろして、本当に前に押し出し続けなければなりません。まず手始めに、すごく斬新というではないかもしれないませんが、創造的な戦略を編み出しました。そこで、我々は喜んでチャンスを与えてくれる、より進歩的な規制環境が世界にあることを認識しました。だからこそ、米国外の国で承認を得ようと積極的に進めているわけです(サイドバーを参照)。
One of the keys to getting a startup off the ground is funding. How did you raise money for Rational Vaccines?
Initially, it was my money. Then I approached my friends, family, and Dr. Halford's family. We raised about $700,000 to do the phase I human trial. It was a little bit different than usual. Most people want to raise a lot of money and go experiment to see if they can figure something out. But since Dr. Halford had already injected himself and his family with this vaccine to prove its safety, we felt we already had something figured out—we just needed to prove it through studies.
Since we announced the phase I trial, a lot of people have been interested in investing. I'll tell you a little anecdote. We had an investor, actually a venture capitalist, who donated $50,000 to us. When I asked him why not just invest, he said, “I don't want to invest. It's not my space. But I want to give you this money because my sister committed suicide because she had genital herpes, and I know your cause is important.”
I am also being very proactive on a Series A round right now, and we hope to close with a top tier venture capitalist soon that I think will be a great strategic partner.
上手く走り出すための1つの鍵は資金調達です。あなたはRational Vaccineのためにどのようにお金を調達しましたか?
当初は、私のポケットマネーでした。それからは、友人、家族、ハルフォード博士の家族にアプローチしました。フェーズⅠの治験を行うために、約70万ドルを調達しました。それは、通例よりも少し違っていたのです。ほとんどの人は、お金のため、そして何かハッキリしたものがあるかどうかを確かめるために実験に参加したいと考えています。しかし、ハルフォード博士は安全性を証明するためにすでにこのワクチンを自分自身と家族に注射していたので、私たちはすでに何かハッキリとしたものがあると考えていました。あとは、研究を通してそれを証明する必要があるだけなんです。
フェーズⅠを発表して以来、多くの人々が投資に関心を持ってくれています。ここで少し逸話を紹介しましょう。私たちには投資家、実際にはベンチャーキャピタリストがいて、私たちに5万ドルを寄付してくれました。私は彼に「なぜ投資するだけではないのですか?」と尋ねたところ、「私は投資したくなかった。私の領域ではないですからね。ただ、私は妹が性器ヘルペスを患っていたために自殺したので、このお金をあげたいと思ったのです。あなたのやっていることはとても重要だと分かっていますからね。」
私は現在、ビジネスの最初の段階で積極的に取り組んでいます。近々、トップのベンチャーキャピタリストに近づいて行きたいと考えていて、その方は大きな戦略的パートナーになると思っています。
Sidebar: Rational Vaccines' Three-Pronged Mission
Rational Vaccines wants to solve all aspects of the herpes problem—beyond just developing better treatments.
サイドバー:Rational Vaccines 3つの長期的ミッション
Rational Vaccineは、より良い治療法を開発するだけでなく、ヘルペス問題のあらゆる側面を解決したいと考えています。
Vaccines
The company is working on a new line of therapeutic and prophylactic HSV vaccines, including TheravaxHSV and ProfavaxHSV. According to Fernandez, they are preparing a phase II trial in the Caribbean and a phase I trial in Mexico. “We want to tackle all of the phases in Mexico, where we think we can get to market very quickly. Then we want to start passing some of the regulatory hurdles in the U.S. right after Series A.”
ワクチン
同社は、TheravaxHSVおよびProfavaxHSVを含む治療用および予防用のHSVワクチンの開発に取り組んでいます。フェルナンデス氏によると、彼らはカリブ海で第2相試験とメキシコで第1相試験を準備中であるようです。「我々は、メキシコで全フェーズに取り組んでいきたいと考えています。メキシコでは、非常に迅速にマーケットに参入できると考えています。それから第一段階のすぐ後に、米国で規制のハードルのいくつかを乗り越えたいと思っています。
Diagnostics
"The current standard of diagnosis of herpes is so bad that the U.S. government has given it a D score on a rating of A to D,” Fernandez explains. Dr. Halford developed a new flow cytometry-based diagnostic test called ABVIC, which measures antibody binding to virus-infected cells. The ABVIC Test includes a background control, is 100 times more sensitive than currently available tests, can shorten diagnosis time to four to six weeks, and has the potential to detect 100% of HSV-1 and/or HSV-2 specific antibodies.
診断
フェルナンデス氏によると、「ヘルペスの現在の診断基準は非常に悪く、米国政府がAからDの評価でDスコアを与えている」とのこと。Halford博士は、ABVICという新しい流動細胞分析法(Flow Cytometry-based Diagnostic Test)に基づく診断テストを開発しました。 ABVIC試験は、バックグラウンドコントロールを含み、現在利用可能な試験より100倍高感度であり、診断時間を4〜6週間に短縮することができ、HSV-1、HSV-2特異的抗体を100%判別できる技術です。
Accurate Information
Rational Vaccines is also committed to improve the accuracy of information that scientists, clinicians, and patients rely upon to discuss genital herpes as well as identify solutions to improve the diagnosis, management, and prevention of herpetic disease. “There is a lot of misinformation out there,” Fernandez says. “We're probably lacking in doing more about this right now, but it is part of our mission and I think we'll do more of a campaign when we finish our Series A round.”
正確な情報
Rational Vaccinesはまた、性器ヘルペスに関する議論や、ヘルペスの診断、管理、予防の改善策の特定のために、科学者、臨床医、患者が頼ことができる情報の精度を向上させることにも取り組んでいます。 「そこには多くの誤報がある」とフェルナンデス氏は言います。「今はこれ以上のことをしていないかもしれないが、それは私たちの使命の一部であり、私たちは第一段階を終えてから、さらにキャンペーンを行うつもりです!」
少し意訳しているところもありますが、大体はあっていると思いますので、参考にしてみてください☆(^^♪
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以上、今回の報告でございましたが、如何でしたでしょうか?
ワクチン開発における、最初の人体実験は「研究者本人」であり、そして次はその家族であることは良くあることでしょうが…、Halford博士とそのご家族が全員ヘルペスの症状が出ていないことを考えれば、安全性は一応担保されていることになるんでしょうかね…。特に、Halford博士はがん治療を受けていらっしゃるでしょうし、そうなると免疫抑制治療なども受けることになるでしょうからね…、その中にあってもヘルペスの発症をしていないということは…。(^^)/
以前の記事でも紹介したと思いますが、TheraVaxの治験はアメリカ国外で行われています。2017年中にはメキシコでの治験Phase 1が開始される予定のようですので、カリブでのPhase 2も今年になるのかもしれないですね…。
これからも新しい情報が入ったら、またこのブログでUPしますので、引き続きご愛読くださいませ☆(^^)/
【追記…】
ちょっと気がかりなのは…、Halford博士が運営しておられる HERPES VACCINE RESEARCH というブログがあるんですが、以前は結構頻繁に質問に返答されていたんですが、この1か月間、レスポンスがないみたいなんです…。体調が思わしくないのかなぁと心配しているんですが…、どうか元気でいらっしゃることをお祈りするばかりです… (´・ω・`)
情報提供ありがとうございます。感謝致します。
返信削除カリブ海の辺りにおけるTheraVaxの治験が好スタートを切ったというのは大きな成果ですね。また、米国における規制のハードルを乗り越えたいという方針があることから、その積極性は高く評価できるでしょう。
しかし、厚生労働省の審査基準については相当厳しいと思いますので、現段階ではあまり期待しすぎない方がいいということですかね。
一番良いのは、日本の研究者や医療関係者が、現段階からTheraVaxに対して関心を持つということではないでしょうか。
それにしても、ヘルペスウイルスを軽く見る風潮というのが気がかりでなりません。頻繁に口唇ヘルペスや性器ヘルペスの症状が現れ、毎日のように悩んでいる人々というのはたくさんいます。したがって、もっとこの病気の深刻さを多くの人に知ってもらうべきなのではないかと思いました。
長文失礼致しました。今後とも有力な情報を提供していただきますことを切に願っております。
コメント、ありがとうございます☆
削除TheraVaxの治験が無事に開始されたことは喜ばしいことですが、やっぱり将来的なFDAの対応は気になるところです…。HSV2ワクチンは非常に需要も高いと思うので、いち早く安全性と効果を確認し、承認した国が大きな利益を得るでしょうね…。今現在もアメリカの中上流層はタイで手術&治療を受けていることからも分かるように、今や医療はビジネスですからね!このままでは、メキシコにしてやられることになるかと思います…。アメリカの研究者がアメリカでワクチンの研究・開発を行い、それをメキシコで販売するわけですからね、メキシコ側としては「ウハウハ」だと思います。Halford博士が20年もかけてやってきた研究成果を、そっくりそのまま自分の国の利益として手にすることができるわけですからね…。
私がTheraVaxについて知ったのは約6年ぐらい前なんですが、FDAもその頃にFast Track(承認プロセスを特別に早くするやり方)で対応していれば、今頃はワクチンがアメリカの製品として全世界に売り出しができているものと思います。そう考えると、ホントにもったいないことをしているなぁ、と考えてしまいます…。
TheraVaxだけでなく、ProfaVax、それに同じ技術を応用したHSV1-2検出技術の三点セットが承認される日は大分先かと思いますが…、まずはHalford博士が元気で研究を継続されるように、そしてTheraVaxの承認が一日も早く行われるように祈るばかりです…。
また、お気づきの点などがございましたらコメントをお願いいたします。ありがとうございました。
銭