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2017年5月23日火曜日

ヘルペスワクチン最前線 04: Aussieパワー COR1




最新ヘルペス ワクチン開発情報第4弾です☆

今回取り上げるのは、オーストラリアの製薬会社ADMEDUS LTDが開発を進めている「COR-1」というHSV2(性器ヘルペス)に対応したDNAワクチンであります。内容的にちょっと難しかったのですが、私も頑張って勉強してみました!

まず、ネタ元でありますが、ADMEDUSがホームページで公開している投資家向けの企業情報(Research Note)を参照しております。今回はオーストラリア株式仲介会社の最王手とされているPatersonsが担当し、ADMEDUSの現状&今後の見通しについてレポートをまとめているようです。

 ADMEDUS Research Report

(上の図をクリックしてダウンロード)


ちなみに、ADMEDUSは再生医療や心臓病治療で有名な会社のようで、抗体医薬品の分野でも大きく伸びてきている会社のようです。会社の外観はこんな感じのようです…。




ストリートビューで見ても、あんまり「大きいなぁ」という感じはしませんでした…。多分、他のところなどにも社屋があるんでしょうね (^^♪

というわけで、今日のお題のCOR-1についてまとめてみたいと思います。


(1)COR-1の特徴

COR-1は、先にも説明したように DNAワクチン なんですが、ちょっと前の投稿でも説明をしたことがあるかと思います…。以前の記事はこちらで確認できます。

DNAワクチン自身、HSVウィルス遺伝子の一部を切り取りワクチンとして活用するんですが、このCOR-1の場合は、つい先日紹介した グリコプロテインD(glycoprotein D: gD2)を基に作られたワクチンのようなんです!(^^♪

すこし前の投稿でも説明したと思うんですが、グリコプロテインDは HSVウィルスが人間の細胞に侵入する際に重要な働きをしているタンパク質で、これをターゲットとした抗体を作ることができれば、HSVウィルスをやっつけることができる!というわけですね☆

ただ、このグリコプロテインDをターゲットとしたワクチンは以前にも大規模な治験が行われているんです…。それは…、「GlaxoSmithKlineが行ったHerpevacの治験」で、かなり期待はされていたのですが、最終段階であるPhase 3で「女性のみに効果がある」ことが判明し、最終的には「失敗」ということになってしまったわけです… (;・∀・)

当然、同じグリコプロテインDをターゲットとするわけですから…、

  ホンマに大丈夫なの…?(´・ω・`)

という疑問がわくのは当然のことでして…、「何で以前失敗したようなことをしてるんやろう…」と思いながらレポートを読んでおりました…。


すると!( `ー´)ノ


どうやら、同じグリコプロテインDをターゲットにするとしても、「全く同じ」ような方法で行っているわけではないようです…。

考えてみると簡単なことなんですが、

HSV2に感染していればウィルスが体内にいるわけだから、当然のことながらそれに対応するための抗体は少なからず存在する

わけで、何度も再発していくことでその抗体が少しづつ高まっていくが故に、年月が経てば症状も軽くなっていく場合が多いわけです。

前回の HerpVac は、

グリコプロテインDに対抗するための抗体を体内で作り出させるためのワクチンだったが、HSV感染者の体内にはすでに抗体がある程度はあるわけで、抗体の生産を大きく促進させるものではなかった 

ようなので、今回のCOR-1は、

グリコプロテインDだけでなく、ユビキチン化されたグリコプロテインDに対抗するための抗体を作るように設計されている

ようで、HerpVac と比較すると、はるかに強い抗原抗体反応を引き起こすことができるようです

ちなみに、ユビキチン化について調べてみたのですが、おそらくは、76個のアミノ酸から構成されるユビキチン(タンパク質の一種?)をグリコプロテインDにくっ付けたもの?なのかなぁと思いました…。あまり分からないままで申し訳ありません…。つまりは、「子持ちグリコプロテインD」ということなんでしょうかね… (^^)/


 (2)現在の状況は?効果はどうなの?

現在の状況は、Phase 2aが終了したところのようで、どうやら5月の上旬に「速報」らしきものが発表されているようです…。またこれについては次回にでも報告いたします。(^^♪

さて、その効果の程ですが…、

Phase 1の動物実験では、かなりの濃度のHSVウィルスに感染させても完治した。


ようなんですが、Phase 2aの中間報告(20人を対象、15人がワクチン接種、5人はプラセボ)によると、結果は以下のグラフのようだったということです。





緑のバーが、ワクチン接種組、灰色のバーが、プラセボ組となります。

  • 緑色のバー(左側)は、ワクチン接種後、3か月目に「ワクチン接種前と比較したウィルス排出量の変化」を見たものですが、結果として、「38%ウィルス排出量が減少した」と報告しています。
  • 緑色のバー(右側)は、ワクチン接種後、12か月目に接種前とウィルスの排出量を比較したものですが、第一回目の接種後に2回、追加でワクチンの接種をしているようです。その結果、「58%ウィルス排出量を減少させることができた」と報告しています。


ちょっと遺伝子組み換えなどの技術的な点で理解できていないところが多いのですが…(勉強不足でスミマセン…)、大体のところは以上のような感じかなぁと思います。


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う~ん、2回ブースターを接種しても58%ですか…。

正直なところ、

  ビミョーな感じ


ですよね…。先に示した報告書では、

  「これからの開発で十分に成果が期待できます」とか、
  「Phase 2の結果がもうすぐ出るので、こうご期待!」
  「2回追加でやって58%なら、あと2回やれば90%超えるかも!」

といった、やけにポジティブな記述がしてあったんですが…、

  所詮、ADMEDUSが雇った会社ですからねぇ…

あんまり、自社の不利になることは最終的な結論では書かないんじゃないかなぁ、と思います…。

最終的には、銭形的には…、

  う~ん…、どうなのかなぁ… (;・∀・)

という感じがぬぐえないところではありますが…、研究が進むのは良いことですので!是非、これからも良い結果が残せるように積み重ねていってもらいたいものですね☆(^^♪


以上、COR-1についての報告でした☆(^^♪


次回をお楽しみに☆

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