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2011年10月1日土曜日

AIC316の対抗馬? Bavituximab

以前に発表された記事も探してみるものですね…。

製薬企業ペレグリン・ファーマシューティカルズ(Peregrine Pharmaceuticals)が臨床試験を行っているC型肝炎の治療薬(Bavituximab)ですが、どうやらC型肝炎以外の感染症にも効果があるようで…、



その中に、HSVウイルスも含まれるようなんです!


引用している記事を見ると、Bavituximabはホスファチジルセリン(phosphatidylserine)をターゲットとしたモノクローナル抗体のようなのですが、良く分からない言葉がイロイロ出てくるので、ちょっとここで少しド素人の解説をしたいと思います。(正しいかどうかは保障できませんが…汗)


  • モノクローナル抗体
    従来の動物を使った血清ワクチンは、抗原に対抗する抗体が複数種類含まれているのですが、このモノクローナル抗体は、1種類の抗体から成るもので、その抗体を多量にコピーすることで抗体ワクチンを人工的に作り出そうというもののようです…。動物を使った血清(これをポリクローナル抗体と呼ぶようです…)は時間がかかり、大量生産が難しかったのですが、このモノクローナル抗体は、短時間での生産&大量生産が可能のようで、現在では多くの製薬会社がこのモノクローナル抗体に注目しているようです。

  • Bavituximabが働くしくみ
    インフルエンザなどnウイルスに感染すると、通常細胞壁の内側にあるリン脂質(ホスファチジルセリン)が表面に出てくるようで(ここのシステムまでは分かりませんでした…)、このリン脂質を目印にモノクローナル抗体をくっ付けて、感染細胞を破壊するために白血球細胞を送るよう免疫系に危険信号を送るようになっているようです!

    このホスファチジルセリンの露出は、ウイルス感染に伴う細胞死(アポトーシス)とも関連があるようで、基本的にはどのようなウイルスであっても起こるもののようです。


今回見つけた記事は2008年11月に発表されたものなのですが、Bavituximabの最新情報を以前このブログでも取り上げたアメリカのclinicaltrials.comで調べてみたところ…、


「C型肝炎とHIVを併発している患者を対象としたBavituximabの安全性を検証する治験(Phase I)」
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT00503347


がこの6月に完了しているようで、今後はPhase IIが実施されるものと思われます。

clinicaltrials.comで「Bavituximab」を検索してみると、15件ほど治験情報が表示されることから、「Bavituximabが製品化される」のはかなり現実味があると思います!


あるブログでは、


「AIC316とこのBavituximab、どちらが先に承認されるか?」


というテーマでたくさんの人が議論しているようです。



AIC316共々、是非、期待したいところですね!



「C型肝炎の治療薬、2ウイルスに効果 研究成果」

http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2542585/3555783

2008年11月24日 20:37 発信地:パリ/フランス

【11月24日 AFP】

C型肝炎の治療薬として試験中の薬剤が、ラッサ(Lassa)熱ウイルスと同系列のウイルスなど2種類のウイルスに対し、大きな効果を発揮するとの動物実験結果が23日、英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に発表された。

この薬剤はBavituximabと呼ばれるモノクローナル抗体で、C型肝炎の治療薬として米カリフォルニアの製薬企業ペレグリン・ファーマシューティカルズ(Peregrine Pharmaceuticals)が臨床試験を行っている。

モルモットを使った動物実験でBavituximabの効果が確認されたのは、米国防省が生物兵器テロへの使用を警戒するラッサ熱ウイルスに近いピチンデウイルス(Pichinde virus)と、免疫力低下時に感染症を引き起こすサイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)だ。

まず、ピチンデウイルスに感染したモルモットを使った実験では、Bavituximabを接種したモルモットの生存率は50%だったが、接種しなかったモルモットはすべて死亡した。また従来の標準的な抗ウイルス薬リバビリン(ribavirin)と併用した場合、生存率は63%まで向上した。

一方、サイトメガロウイルスに関しては、Bavituximabを接種しなかったモルモットの生存率は25%だったのに対し、Bavituximabを接種したモルモットは1匹も死ななかった。

どちらのウイルスも変異を起こして感染しやすくなったり、既存の医薬品分子に抵抗力が強いことで知られていた。

しかし、Bavituximabはウイルスに対し「正面対決」を挑むのではなく、ウイルスが細胞に感染するまで待つことが分かった。感染した時点で、通常は細胞壁の内側表面に存在するリン脂質、ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)が細胞の外側に現れると、Bavituximabがホスファチジルセリンに取り付き、感染細胞を破壊するために白血球細胞を送るよう免疫系に危険信号を送った。

論文の共著者である米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(UT Southwestern Medical Center)のフィリップ・ソープ(Philip Thorpe)教授は、ウイルスの変異という大問題を回避できる新しいレベルの抗ウイルス薬への道が開けるかもしれない、と興奮気味に語った。

細胞壁の外側へのホスファチジルセリンの出現は、インフルエンザや単純ヘルペス、天然痘や狂犬病のウイルス、HIVウイルスに感染したときにも起こることが過去の研究で確認されている。(c)AFP



2 件のコメント:

  1. こんばんは、銭形警部さん ヘルペス闘病に勇気ずけられる情報提供ありがとございます。C型肝炎とB型肝炎に使うインターフェロン療法がありますけど個人的にインターフェロンはウイルス増殖を有効に押さえる効果があると思います。単純ヘルペスにも有効だと考えてます。インターフェロン療法と併用出来る単純ヘルペス新薬開発はしていないのでしょうか?インターフェロンは大変に優れた薬です。副作用は侮れませがね。海外での情報がありましたら掲載を何卒よろしくお願いいたします。

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  2. 情報、ありがとうございます!「インターフェロン」ですか…。私もど素人ですので、あまり詳しくは分かりませんが(汗)、またリサーチを進めていく上でキーワードとして心に留めておきたいと思います。ご教授頂きましてありがとうございました。

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